先日、競争戦略で著名な楠木建教授がランチでの雑談で、「人間という80億もある価値観の異なる個性をまとめようとすること事態がムリな話」と、自身が経営者ではなく経営学者でいることについて話していました。

会社組織は、80億人とは言いませんが、異なる価値観を持つ個体の集まりであり、その集合体を目標に導くのが会社経営です。それなので、経営は大変なことだと今さらながら思います。でも、だからこそやりがいのあることだと思ってもいるので、経営者は、逃げずに、泣かずに、諦めずに、覚悟を決めて経営をしていくしかありません。

さて、私は過去にダイバシティ―(多様性)の本当の意味を理解しないまま、多様な価値観を持った人を集め、経営の停滞を招いたことがあります。
創業から10年が経った頃、これまでの家族的な経営から、成長志向の経営に舵を切るために、今いる人材やこれまで採用していた人材とは異なる能力と価値観を持つ人材を採用していきました。そして、多様な能力や価値観により生まれる活力で、組織に化学反応をもたらそうとしました。しかし、その変化は、会社に成長をもたらすのではなく、停滞をもたらすものでした。

例えば、サッカーなどチームスポーツは、異なる能力(多様性)を持つ選手たちが、監督が示す戦術(価値観)に従って戦います。監督の戦術を理解できない選手や戦術に反するプレーをする選手、そもそも戦術に従うつもりのない選手がいると、試合に勝てないばかりか、他の選手に悪影響を及ぼしチームの弱体化につながります。

これは、選手が悪い、チームが悪い、監督が悪い、戦術が悪い、というのではなく、ミスマッチということです。チームは戦術に合う能力を持つ選手を獲得するべきであり、選手は自分の能力が生きる戦術を持つ監督のチームに行くべきです。

その苦い経験から私は、“能力は異なるが価値観は同じ”人材を採用していくことにしました。そのために、先ずはビジョン、ミッション、バリュー、カルチャーからなる経営理念の見直しを行い、社内外へ繰り返し発信していくようにしました。そして、経営理念に共感をしてくれた人を採用していくようにしました。(この話は大事な話なので、また別の回でお話します。)

とはいえ、仕事の能力と仕事への価値観は、一緒に働いてみないとマッチするかはわからないことも多いです。そのため、今でも上手くいったり、いかなかったりではありますが、良い経営をして、良い人が集まる会社になるよう、経営に努めることに変わりはありません。

クロスメディアグループ 代表 小早川幸一郎

 

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