編集部の久保木です。

ある日、弊社の広報担当からメールが届きました。
「『編集日記』を書いてください」

ん…、日記…?

続けてこうあります。

「“ぜひ”久保木さんにお願いしたいです」

ぉおお…。

即、快諾の返信をしました。ありがとうございます。誰かへの依頼とはこうすればいいのか。勉強になります。

さて、今回紹介するのは『平均4.2カ月で1万フォロワーを実現する プロ目線のインスタ運用法』という本です。うれしいことに発売から順調に伸びており、発売から2カ月半ほどで8刷2万7500部となっています。

ただ、自分で自分の担当作の話をするというのは、なんともこっぱずかしいものです。できるだけ冷静に、客観的に書いていきますので、どうぞ生温かい目で読んでください。

初回の打ち合わせでヒットを確信

本書の著者は石川侑輝さん。インスタ運用を支援するSAKIYOMIという会社の代表の方です。

「インスタ運用の本はたくさんあるけれど、具体的に実践できるものが見当たらない。インスタをすでにやっているけれどうまくいかない人に向けて、超具体的な本を作ろう」

こんなコンセプトで、本書の制作はスタートしました。

最初にお話を聞いたとき、「これは売れるな」と確信しました。

「もし、1万部に届かなかったら編集の責任です!!」と、力強く宣言しました。心の中で。
これは私に「先見の明がある」とか、「分析力がある」とか、「やればできる!」とか、そういうことではなくて、編集者であれば誰でも同じ印象を感じたはずです。

なぜ「売れる」と感じたのか。

ひとつは著者(コンテンツ)の持つ圧倒的なオリジナリティです。

本書の企画に当たり、類書(内容の似た本)を読んでみると、入門編というか、インスタの基本的な使い方を紹介するものが多い印象でした。

その点、本書のノウハウはどこにもない完全オリジナルでした。内容をひと言で表現すると、「4つのステップを繰り返すだけでフォロワーが増える」です。誰が読んでもすぐに真似できるものですし、基準とすべき指標もはっきりとしていました。

さらにそのノウハウは、SAKIYOMIさんが300アカウント・400万フォロワー以上を分析した結果、導き出したものです。実績も申し分ない。
「これは売れるな」となるわけです。

本当にみんなインスタを使っている

売れると感じた理由がもう一つ、今は本当にたくさんの人がインスタを使っていて、さらにそれが「消費」に結びついていると知ったことです。
本書の制作を通して私がいちばん驚いたのは、若い人たちのインスタの使い方です。

私(40歳)たちの年代では、情報収集といえばグーグルです。しかし若い人たちは、行きたいお店や欲しいモノをインスタで探すそうです。

普段からなんとなく投稿をチェックして、気になるお見せや欲しいモノを見つけたら、「保存フォルダ」にコレクションしておき、買うときやお店を選ぶときには、その中から探す。

そう聞いて、「本当かな…」と感じましたが、実際にコレクションしているキャプチャ画像を見て、「マジだ…」となりました。

インスタを通して商品やサービスを探す人が多いということは、情報発信をしなければいけないと考えている人も多いはずです。

ここからも、本書は「売れるな」と感じるわけです。

制作で意識した2つのこと

本を作る上で特に大事にしたのは、次の2点です。

①「読者の方が実践するときに読み返すことができる構成」

②「イラストや画像を豊富に掲載した、直感的にわかるレイアウト」

まず、構成について。

読者の方は、本書を読んだ後にノウハウを実践するわけですが、もちろん書いてある内容すべてを覚えられるわけではないと思います。実際にやっているときに「プロフィールってどう作るんだっけ」「どんな投稿をすればいいんだっけ」となるはずです。

そのとき、本の目次を開いてすぐに必要な情報を解説している場所がわかるようにしています。そうしてインスタ運用をする上での「座右の書」としてもらえるようにつくりました。

次に紙面のレイアウトについて。

本書を買っていただく方は、当然、普段からインスタを使用しているはずです。つまり、「文章よりもビジュアル派」な人が多いはずです。

それに、年齢層は若いことが予想されます。現在の若年層は瞬間的に情報収集をする傾向があると言われており、その点でも「ひと目見て内容がわかる」レイアウトにすべきだと考えました。

そこで、感覚的に理解できるよう、イラスト(図説)やキャプチャ画像を多数掲載し、文章もなるべく無駄を削り落として端的な表現にしました。
これらも、多くの方に届いている理由かなと思います。

理想の本づくりの実現

私は、いわゆるビジネス書の編集とは「引き出して、整理して、飾り付けをすること」と考えています。著者の持つコンテンツを引き出し、わかりやすく分類して並べる。あとはタイトルやデザインといった飾り付けです。

また、世の中で売れている本を見ると「コンテンツ4割、デザイン・タイトル4割、編集2割」だと思います(中にはどれか一つの要素が突出して売れることもありますが)。理想は「コンテンツ5割、デザイン・タイトル4割、編集1割」でしょうか。

本書は、まさにこれらを実現するものでした。素晴らしい著者との出会いが、読者のみなさんへの価値提供に直結している。こんな本づくりを、これからも続けていきたいと思います。

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