編集部の中平です。
今回は6月に発売した『人生の帰路に立ったとき、あなたが大切にすべきこと』ができるまでのお話をしたいと思います。
洋書らしさをそのまま味わってもらいたい
どんな読者に何を情報価値として伝えるのか、ゴールをイメージする作業は昨年11月から始まっていました。その頃、版権についての事務作業が完了し、次のステップとして、レッドオーシャンである自己啓発ジャンルの中で、書籍の良さを際立たせるにはどうしたら良いかを考えていました。「transitions」という原著タイトルの単語が印象的で、これをうまく1冊の書籍で表現したいと思いました。
原著はとてもボリュームがあったためページ数を半分にし、著作権の会社を通じて著者へも了承を取って頂きました。海外のビジネス書は文字数が多いものも豊富ですが、日本の書店の自己啓発ジャンルの読者層は、もう少し読みやすいものを求めているはずなので…。
著者からの英文の返信を見たところ、できればオリジナルのボリュームでいつか発売したいという雰囲気は漂っていたのですが、その分、日本で必要としている読者に、しっかり刺さる形にしようと思っていました。
原著の構成は「洋書あるある」でとてもシンプル。その雰囲気を読者にも味わってもらいたいと考え、目次はスッキリと2ページで見せています。個人的にも、目次で文字をいっぱい見せられると、「全部読めるかなあ」とか、「なんかいっぱいあるな…」と重く感じてしまったりするタイプなので、翻訳本ならではの、日本の自己啓発本とは違う空気感をとことん演出したいと考えていました。書籍の中の見出しのデザインも、洋書のようにシンプルにしています。
文章についても同じで、翻訳会社より翻訳原稿を頂いたのは今年の3月でしたが、原書が特徴的な文体(社会調査的な要素)も多かったので、日本人同士の会話や日本の書籍ではあまり使用しない言い回しも、敢えて残しています。英語は、結論→理由→修飾語(限りなく付け加えられていく)構造なので、日本語にすると1文が長くなりがちですが、そこも含めて楽しんでもらいたいと思っています。
読んでいても、飾っていても、存在感ある一冊に
内容としては、つらい経験をした人々へ、その過程と乗り越えた時の心境などを著者からインタビューしているのですが、「THE アメリカ」というような、日本ではあまり聞かない事例や、ヘヴィーなものも多く、それらは優先的にカットしています。
敢えて載せるという方法も、アメリカらしさがあってありかなと迷ったのですが、読者にドン引きされてもなと泣く泣くカットしました…。気になる方は原著も日本で売っていますので読んでみてください(笑)。
タイトルは、社内協議を経て最終的に「transitions」の訳を「岐路」とし、この単語がタイトルになっているメジャーな自己啓発本は未だ無いので、目立つように意識して今のタイトルに着地しました。個人的には、とてもストレートで良いなと思っています。
デザインは個人的にとても気に入っています。ほかの自己啓発にはあまり見かけないイラストやデザインのテイストで、日本の自己啓発やスキル本とは少し違う、読み物のような雰囲気も演出し、カバーを外しても洋書のように楽しめるように、色、デザイン、紙質にこだわりました。電車やカフェで読んでいてもサマになるし、部屋に飾ってもキマるはず。
最後に、この本は様々な世代のかたへのインタビューからなっているため、どの年齢の時に読んでも新たな発見があると思います。生きていく中で自分自身の価値観が変わっていき、いま刺さらない文章も、数年後、早ければ来年には刺さるかもしれません。私も、辛いことがあったときはこの本に載っている人たちの体験やそこで得た考え方、著者がまとめた結論などを思い出しながら、自分だけじゃないし、人生はきっとこういうものだ、と言い聞かせるときに使っています。
ぜひみなさんの本棚にずっと残り、困ったときや辛い時に手に取れる、人生のバイブル的な存在になればいいなと思っています。
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中平
電車やカフェで読んでいてもサマになるし、部屋に飾ってもキマるはず…!