なぜ「教育」というテーマに惹かれたのか?
「教育」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?
学校の勉強、受験、あるいはもっと広い意味での「学び」でしょうか。このたび、そんな「教育」を真正面から扱った新刊『教育ビジネス』が出ます。
この本は、さまざまな業界の知恵をひもとく「業界ビジネスシリーズ」の一冊です。宇宙ビジネス、自動車ビジネス、コンサルティングビジネス……数ある魅力的なテーマのなかから、なぜ「教育」を選んだのかをお話します。
まず、「教育は、結局どんな人にも関係がある」というシンプルな気づきです。私が編集しているビジネス書も、広い意味では「学び」のツール。良い本を作るなら、その大元にある教育について知っておく必要があると感じていました。会社で働くのも、自分が学び、後輩に教える、という教育のプロセスに関わり続けることです。
世の中の動きも、この本を作る後押しになりました。
子育て中の親戚や友人からは、「うちの子、学校に行きたがらなくて…」「どんな教育がいいのか、正直わからない」なんて声もよく聞きます。コロナ禍以降、デジタルツールを重視する、リアルな体験を重視するなど、多様な塾や教育サービスも増えているため、途方に暮れてしまうのも当然です。
教育には、どんな人にでも、いつも当てはまる正解といったものはありません。だから、「○○という教育メソッドを使えば正解!」のような本ではなくて、もっと「自分で判断するための地図」のような本が必要だと感じていました。情報がたくさんある時代だからこそ、自分なりの判断基準を持つことが大切だと思うからです。
楽しく学び続ける人生を思い描くために
著者の宮田純也さんは、大手広告会社などを経て独立後、日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム」と「株式会社未来の学校教育」の創設、約2億7000万円の奨学金の創設、通信制高校の設立に関わるなど、プロデューサーとして教育に関する企画や新規事業を実施されてきました。2024年には「未来の先生フォーラム」と「株式会社未来の学校教育」を朝日新聞グループに参画させ、子会社社長を務めました。現在は大学の特任准教授、中学校・高校の経営にも関わっています。まさに現代の教育の全体像を多角的に捉えている方です。
今、IT、さらにAIの出現により、社会が大きく変化しており、教育界では明治維新依頼150年ぶりの大転換期を迎えています。
この本では、数千年前から変わらない教育の本質的な側面と、時代とともに変わっていく側面の両方を学ぶことができます。たとえば、「そもそも教育はなぜ必要なのか?」という根源的な問いから、最近耳にすることも増えてきた「探究学習」や「GIGAスクール構想」について、さらには「全米一の進学校はオンラインで授業をしている」といった驚きの教育事情まで、幅広くカバーしています。「なぜ先生の仕事はブラック化しやすいのか?」「なぜ教育改革を進めるのは難しいのか?」といった気になる疑問にも答えています。
本書に一貫しているのは、宮田さんの「変化に適応して行くだけではなく、自分たちで未来を構想していこう」という姿勢です。いま、通信制高校に通う高校生の数が高校生全体の約1割になったり、塾では英語や数学だけでなく、プログラミングやアートも学べたりするなど、選択肢が増えています。「どれが正解なんだろう?」と思うと、不安になってしまいますが、たくさんの選択肢があるということは、それだけ一人ひとりの子どもに合った最適な教育を提供できるということです。お子さんや生徒さんがもっと生き生きと取り組める学びが何なのかを、探れる時代が来ているということです。
そして、その人に合った教育を模索していくというのは、子どもだけの話ではありません。
AIが普及するなか、これまでの仕事がAIに代替されるということが日に日に起こっています。2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると予測されています。誰もが生涯学び続ける時代が来ているのです。
死ぬまで苦しい思いをして勉強をし続けるなんて、考えるだけでゾッとしますよね。生涯学び続ける時代に楽しく学んでいく道を探るには、教育の全体像を知っておくことが大切です。先生や子育て中の方はもちろんですが、多くのビジネスパーソンにも読んでいただきたい一冊です。
(編集担当:岡田)
岡田
子どもたちの教育を考える前に、“自分自身がどう学ぶか”を考えてみませんか?