先日、サッカー日本代表が、ドイツ、ブラジル、イングランドといったW杯優勝経験国を撃破している姿を見て、改めて「個と組織」の関係について考えさせられました。
かつては、日本は技術で劣る、フィジカルで劣る、メンタルで劣るといった理由から、「個では勝てない」と言われ続けてきました。そのため、「日本人特有の組織力で勝つしかない」という考え方が長く支配的でした。しかし、現在は明らかに状況が変わっています。個の力そのものが底上げされ、個でも戦える選手が揃い、そのうえで組織としても機能している。つまり、「個か組織か」という二項対立ではなく、「強い個が強い組織をつくる」という状態に進化しています。
これはビジネスにおいてもまったく同じだと思います。私もこれまでの経営の中で、「個が弱ければ組織力や仕組み、戦術を強化すればよい」と考えていましたが、現実には、弱い個で構成された強い組織というものは存在せず、仕組みや戦術も機能しづらいです。
組織のパフォーマンスは、個の総和であり、個の質の掛け算です。したがって、強い組織をつくるためには、まず強い個を採用することが重要です。あるいは、現時点では未完成であっても「強くなりたい」という意志を持った個を採用し、組織として鍛え続けることです。採用と育成、この両輪が揃って初めて、組織は持続的に強くなっていきます。
一方で、強い個が集まれば自動的に強い組織になるわけでもありません。個がバラバラに力を発揮するだけでは、組織としての成果にはつながらない。そこに必要なのが、方向性を揃える戦略と、日々の行動を支えるマネジメントです。
クロスメディアの人間主義的経営において重視しているのは、「個を尊重すること」と「組織として成果を出すこと」の両立です。個人の能力や意思を引き出しながら、それを組織の成果に結びつける。このバランスをどう設計するかが、これからの経営の本質だと考えています。
強い個があり、その個が組織の中で活きる。そして、その組織がさらに個を強くする。この循環をつくることができれば、企業は持続的に成長していくことができます。「個か組織か」ではなく、「個と組織」。この視点こそが、これからの経営においてますます重要になっていくと感じています。
クロスメディアグループ 代表 小早川幸一郎