こんにちは。『愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたことキャラクターは会社を変えられるか?』の編集を担当した末岡です。
まず、この本がどんな本なのか。簡単に内容を説明させてください。
本書は、先日5周年を迎えた、チャンネル登録者数38万人超、総再生回数1億回を誇る、地方書店チェーン・有隣堂の企業YouTubeチャンネル『有隣堂しか知らない世界』のプロデューサー兼ディレクターを務めるハヤシユタカさん(通称・ハヤシP)を著者に迎えた1冊です。
宣伝文句には、「立ち上げから今日まで、企画・演出・編集を手掛けてきた動画クリエイターが語る、愛されるキャラクターを作るために考え続けてきたこととは? オリジナルグッズ、生配信、リアルイベント、そして前代未聞の「24時間生配信」まで ―― 著者の「頭の中」と「手の内」を明かしています。」と書きました。
実はこの本、昨年の5月、私が入社して初めて提出した企画でした。
今回は、どのようにして企画が立ち上がったのか、書き下ろしの魅力、販売に向けた試み、編集者としての私がハヤシさんから学んだこと、の4点に絞って書いてみたいと思います。
企画発足のきっかけは「好き」から
昨年春、営業チームの先輩から「末岡君、『ゆうせか』好きだよね? 今度、私出るから見学に来ない?」と声をかけられたのが始まりでした。一ファンとして、毎週楽しく視聴していた『有隣堂しか知らない世界』。
弊社の岩瀬が登場する回(https://crossmedian.com/2024/10/10227/)の収録見学に足を運んだ際、ハヤシさんにお会いする機会を得たのです。
私はチャンネル開設当初から『有隣堂しか知らない世界』に注目していました。奔放なブッコローの発言、企業公式とは思えない自由なチャンネル設計はもちろんのこと、チャーミングなブッコローのビジュアルにも魅了され、人気グッズのキーホルダーも発売当初に買うほどです。
すでにホーム社さんから、有隣堂YouTubeチームによる『老舗書店「有隣堂」が作る企業YouTubeの世界〜「チャンネル登録」すら知らなかった社員が登録者数20万人に育てるまで〜』が刊行されており、一会社員の視点から見た人気チャンネルになるまでの裏側が克明に描かれていました。読み応えがあり、類を見ない書籍として多くの学びがありました。
しかし、私が個人的に興味を惹かれたのは、謎に包まれたプロデューサー。ハヤシさんでした。「どうすればこんなに面白いコンテンツが作れるのだろうか?」と、カメラの向こうにいる顔を明かさないクリエイターの頭の中を覗いてみたいという強い思いが募り、ハヤシさんに「ぜひ書いてください」と直接打診するきっかけとなりました。
AI時代だからこその、「書き下ろし」の魅力
ハヤシさんにご快諾いただいてからは、定期的に打ち合わせをしながら、原稿をご執筆いただきました。この本は、ハヤシさんご自身による「書き下ろし」です。
お忙しい中、毎回締め切りに間に合わせて、原稿を送っていただき、そして、その原稿が毎回、面白い。「ここまで書いちゃっていいんですか?」というぐらい濃い情報量が詰まっていました。編集者冥利に尽きることです。
何よりもお伝えしたいのが、ハヤシさんの文章は、読みやすく、かつ、読み手が著者の「熱量」を感じられることです。ぐっとくる文章で、揺さぶられる。
ただ、書き下ろしは著者さんの負担が大きい本作りのスタイルでもあります。
ご存じの方も多いかと思いますが、すべての本が著者さんによって書かれているわけではありません。インタビューをして、ライターさんが書くという形式で作っている本も多くあります。
しかし、ライターさんを介在させた整った文章やAIによって生成された記事が溢れる現代だからこそ、私は、書き下ろしの価値が相対的に高まっていると思います。
著者の熱量や思いをダイレクトに伝えるには、やはり書き下ろしが一番だと考えています。ハヤシさんの文章は、読書家の方から、普段あまり本を読まないという方まで、好評の感想をいただいております。
ファンじゃない人にも届けたかった
本は作るだけでなく、読者の皆さんに届けることが何よりも重要です。そこで、PR施策を検討しました。もちろん、『有隣堂しか知らない世界』の熱心なファンの皆さんに楽しんでいただくことは最優先でした。その上で、このチャンネルを知らない方々にも本書を届けたいという思いがありました。
そこで、ハヤシさん、有隣堂の皆様、そしてクロスメディアのプロジェクトチームで何度も話し合いを重ね、ファンの方々が「買いたい! 読みたい!」と感じるような設計を徹底的に練り上げました。具体的には、箔押しの「金のブッコロー」をデザインした有隣堂限定高帯、2種類の特典ステッカー、そして、YouTube生配信による事前予約回を用意しました。
その結果、事前予約回では、1時間で2,286冊をご購入いただくという、驚くべき反響をいただきました。ファンの皆様の熱量に改めて圧倒されると共に、こうしてハヤシさんの本がファンの方に届くのが、心底嬉しかったです。
困難な時代だからこそ「熱量」がカギ
最後にちょっとだけ、まじめな話を。
いま、書店が日本のいたるところから姿を消しつつあります。また、出版業界も依然として厳しい状況が続いています。
しかし、そんな中でも、日本トップクラスの企業YouTubeチャンネルが誕生したり、新刊でベストセラーが生まれたりしているのもまた事実です。
ハヤシさんとの本作りを通して、編集者として学んだのは、熱量の大事さです。
本書の冒頭に、ハヤシさんは「本能とパッションだけで突き進んでいた5年間」と謙遜されて書いています。が、戦略やノウハウ、仮説と検証も大事だが、それを絶えずやり抜けるほどの情熱が何よりも優越しなければ、コンテンツが溢れる時代に埋もれてしまうだけです。
この本を通して、どうしたらもっと面白くなるか、どうしたら読者が読みたいと思える本になるか、どうしたら著者さんの情熱や思い、そしてノウハウが一番伝わるか。
読者の方に本を届ける編集者として、これらを常に熱量高く考え続けるしかないのだと、改めて学ぶことができました。
ファンの方も、クリエイターの方も、企業の広報担当者の方やマーケターの方も、経営者の方も学びがあり、楽しく読める本です。
この本が、多くの読者の皆さんの心に響くことを願っています。
ぜひ、書店で手にとってみてください。
『愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?』
1,848円(本体1,680円+税10%)円
Amazon.co.jpで購入する

末岡
実はこの本、私が入社して初めて提出した企画でした。