こんにちは。編集部Tです。

今回は、僕が編集を担当した書籍『努力の地図』について紹介します。

 

この本は2025年5月に刊行すると、すぐに重版がかかり、その後も各メディアで取り上げられ、「flier(フライヤー)」のビジネス書月間ランキング(2025年8月)では第1位を獲得するなど、たくさんの反響をいただいています。

 

そもそもの企画のきっかけは、社内の会議でした。代表の小早川さんが「みんな努力はしている。でも、なかなか結果に結びついていない」といった趣旨の発言をされていたのを聞いて、努力という、ふわっとした概念の解像度を上げて、結果に結びつきやすくする方法を一冊にまとめたら、面白い本になると考えました。

 

著者は、音声プラットフォーム「Voicy(ボイシ―)」の人気パーソナリティ荒木博行さんに依頼しました。ビジネス書の目利きでもある荒木さんなら、この難解なテーマにまったく新しい答えを出していただけると期待したからです。

 

荒木さんはまず、リサーチャーに協力してもらい、書籍やWEB記事、SNSなどにおいてビジネス書の著者や作家、著名な経営者、スポーツ選手などが、努力についてどのように語っているかを調べ上げました。そうして集まったさまざまな“努力論”を体系立て、構造化してできたのが、本書で紹介している「努力の4階層」と「報酬の4類型」です。

 

努力の4階層とは、より具体的な努力から順に「量の努力」「質の努力」「設計の努力」「選択の努力」の4つに定義し、4階建ての建物に見立てたものです。

努力は一定の量をこなさなければ、質を高めることはできません。そして、より上位の努力として、目標に対してどのような努力を組み合わせる(設計する)か、そもそも目標の選択は正しいのかを広い視点に立って考えることも重要です。

 

一方、報酬の4類型とは、努力と報酬の関係を「設定した目標との距離」と「時間」を掛け合わせて、「即達成型報酬」「即サプライズ型報酬」「ゆっくり達成型報酬」「ゆっくりサプライズ型報酬」の4つに類型化したものです。

達成型は当初の目標通りの報酬、サプライズ型は当初の目標から外れた報酬(副産物)を意味し、即とゆっくりは報酬が得られるまでの時間を表しています。

 

そして、この本の最も面白いところは、努力と報酬をつなぐプロセスとして、「9つの神話」を提示していることです。

9つの神話とは、努力が報われるかどうかに対する考え方のようなものです。たとえば、「自動販売機型神話」は、自動販売機にお金を投入すれば、金額に見合った商品が出てくるように、努力すればするほど右肩上がりに報酬が跳ね返ってくるという考え方、「ガチャガチャ型神話」は、努力すれば報酬は返ってくるけど、きれいに比例せず、報酬の大きさはランダムであるという考え方です。

 

荒木さんは、人によって信じている神話が異なるからこそ、努力論はいつもすれ違い、そのせいで苦しんでいる人たちがいると指摘しています。9つの神話のうち、自分はどの神話を信じているかを考えてみるのも、楽しいと思います。ちなみに、僕は「職人型神話」に近い考え方です。

 

行動が結果につながりにくい時代だからこそ、どのように努力をすればいいか迷っている人も多いのではないでしょうか。「努力なんて無駄」「そもそも、がんばることが苦手」「努力よりも才能でしょ」と考えている人はもちろん、伸び悩んでいる部下を持つマネジャー、子どもに努力することの大切さを伝えたい親御さんにもおすすすめの一冊です。

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