久しぶりの更新となってしまいました。昨年立ち上げたPodcast番組「東京広報大学」やXでの発信に注力させていただいていました。

先日、「進化型の広報って、どういう広報ですか? 一般的な広報と何が違うのですか?」と質問されることがあり、改めて言語化する機会があったので、この連載にも綴りたいと思います。

先週、配信1周年を迎えたPodcast番組の公開収録にゲストとして出演しました。公開収録の良いところは、リスナーの方々が目の前にいること。リアルな反応を感じながら話すことができるのはとても新鮮で、目をみて話しができるのはとても嬉しいです。私はなぜか視聴者がいない方が緊張してしまうタイプです。微笑んでくれたり、頷いていただけるのをみて、どれだけ伝わっているのかを直に確かめられる機会は、オンラインで発信することがメインの私にとって、本当に貴重な機会でした。最後にその場で質問をいただくこともでき、通常の収録だとモヤっとして終わってしまっていたところが、その場で回答できたことで、リスナーの方々との距離感もグッと近くなったのを感じました。やはり相互のコミュニケーションが生まれるリアル収録は良いですね。

私は収録の終わり間際に「私は広報になりたくて広報になったわけではなかったからこそ、広報らしくない広報ができると思っている。進化型の広報を目指したい」と話しました。すると、収録後の質疑応答で鋭い質問をいただいたのです。それが先述した「進化型の広報とは具体的にどんなものか聞いてみたい」という質問でした。私自身もまだ模索している最中ですが、今持っている答えとしては、「企業をメディア化できる広報」です。言い換えれば、企業自らがコンテンツを作り、発信できる状態を作れる広報です。

今は誰もが自由に情報発信できる時代で、SNSで発信していない人の方が少なくなってきています。しかし、組織や企業になると、まだまだ自分たちの声を使った発信は後回しにされがちです。よく見るのは、広報担当者が個人アカウントで積極的に発信しているのに、その企業としての発信がほとんどされていないケース。また、一般的に企業の広報活動といえば、プレスリリースの発信やメディア対応、イベントの企画などが中心になりがちですが、それだけでは一時的に効果は得られても、いつまでも資産になっていきません。広告と同じような広報活動は勿体無いと思います。企業自らの言葉で発信し、コンテンツを蓄積していく。発信すればするだけ価値になる。せっかくならそんな広報活動ができればと思うのです。

自ら発信するというのは、単に情報を出すことではなく、企業のあり方そのものをストーリーにして世の中に発信することでもあります。そうでなければ、届けたい人に届かない世の中になっています。他者のメディアや代理人に頼らず、自分たちの声で発信していくこと。それがあって初めて、他者の意見を通じて自らの価値を表明できるのではないかと思います。自分たちのストーリーを語り、ブランドの存在意義を伝え続けることで、単なる商品やサービスの提供者ではなく、社会に対して価値を持つ存在として認識されるようになると私は考えます。

昨年立ち上げたばかりの「クロスメディアン」は、まだまだ生まれたてのメディアです。しかし、立ち上げ当初から「自己開示の場」として効果を発揮しています。自分たちが何を考え、どのようなビジョンを持っているのかを伝える。一番最初の立ち上げフェーズにおいてはPV数や認知よりも、まずは自分たちのことが正しくリアルに言語化されている

ことに意味があると思います。「クロスメディアン」の次のフェーズとして、「対話」や「巻き込み」が大事になってきますが、自分たちを表現していることによって、コミュニケーションはとりやすくなっているはずです。

広報は単に企業の情報を届けるものではなく、企業がどのように社会と関わるのかを示すものでもあります。社会と共に価値を作っていく。そのためには、自らの声を使い、継続的なコンテンツを生み出し、対話を生み出すことが不可欠です。

進化型の広報とは何か。その答えは、まだ私の中で定まったわけではありません。これからも特定の「これだ」という明確な答えは出てこないと思います。なぜなら変化していくからです。しかし、企業が自ら発信し、対話を生み、社会とともに歩む広報のあり方こそ、次世代の広報活動として必要だと私は考えます。これからも、この問いを深めながら活動していきたいと思います。

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