クロスメディア広報の濱中です。
「自分のやってきたことの成果が見えづらい」
「この先どんなキャリアを目指せばいいんだろう……」
「何をやってるのか、自分でもわからなくなる」
広報の仕事は、経営に近ければ近いほど業務範囲が多岐にわたり、「総合格闘技」になりがちです。自身のキャリアパスに漠然とした不安を抱えている方も多いはず。
今回は『東京広報大学』第86回でのお話しさせていただいた「広報のキャリアアップ」についてを、そのまま記事化してお届けしたいと思います。
私の現状についてAIに伝えて返ってきたフィードバック、そして番組MCの二宮さんからのアドバイスをもとに、私自身も広報のキャリアの可能性について考える良い機会になりました。
中小企業の「1人広報」が抱える孤独と、成果が見えづらい焦り
二宮: 今回は濱中さんの持ち込み企画ですね。
濱中: 今日のテーマは「広報のキャリアアップ」です。
二宮: お、キャリアアップ! 良いテーマですね。
濱中: 正直、私自身は普段目の前の仕事に必死で、そこまで自分のキャリアアップを意識しているわけではないんです。でも、やっぱり「この先に自分はどういう仕事ができるようになっているのか」「何ができるようになっているのか」をたまに考えないと、日々のモチベーションが保てないですし。せっかくなので、リスナーの皆さんにも考えていただくきっかけになればと思って持ってきました。
二宮: 僕は広報という仕組み自体は理解していますけど、組織における「広報担当」や「広報部」のキャリアについては、そこまで深く知らない部分もあります。そもそも濱中さんのところは、組織図的にどんな立ち位置なんですか?
濱中: クロスメディアが「広報チーム」から「広報室」になったのは、去年の10月なんです。それまでは管理部門の中の人事の中にいて、メンバーも私だけの「管理部門の広報担当」という立ち位置でした。
二宮: なるほど。人事部の中の広報担当だったんですね。世の中の仕組みを見ると、企業の中での広報の立ち位置は大きく2つに分かれると思っていて。 1つは会社としての情報発信をリーガルチェックも含めてきっちり管理する「コーポレート広報室」。大企業に多いと思います。
そしてもう1つが、中小企業に多い「人事部直下の採用広報」を目的とした立ち位置。マーケティング部と連動した広報もありますが。今回は、僕らの得意領域でもある「中小企業向け」の広報キャリアについて深掘りできればと思います。
濱中: 今日のテーマを持ってきた理由ですが、広報って、明確な昇格ステップが見えにくいんですよね。だからこそ自分自身がいつも考えているテーマでもあって。
二宮:「昇格」の一番分かりやすい最初のステップは、「1人広報からチームになったとき」じゃないですか? やれることや裁量権が広がって、見える景色がガラッと変わる。
濱中:私にとっては、ちょうど半年前くらいにそれが起こりました 。
二宮: 濱中さんは4年間、ずっと1人で必死にやってきて、ようやく半年前に2人の増員が決まってチームになったんですよね。その増員のきっかけも、濱中さんが広報として成果を出したからだと思うんです。ただ、広報って本当に「成果を数字で出しづらい仕事」じゃないですか。
濱中: 仕事の特性上、そうかもしれませんね。広報の仕事は、中長期的な視点で種まきをするような業務が多いんです。だから、「早く成果を出したい」と焦る人や、使命感の強い人ほど、成果の見えづらさに不安を感じて、マーケティングや営業寄りの仕事に自ら手を伸ばしてしまう傾向があります。実は私もそのタイプでした。
「自分がやっていることの成果が見えづらい」という焦りや、「この先どうなっていくんだろう」という不安は、多くの広報担当者が共通して抱えている悩みだと思います。二宮さんの会社はどうですか?
二宮: うちのグループ全体でも200人くらいメンバーがいますが、実はグループ全体を統括する広報部や広報担当というのは存在していなくて。今は各部門で兼任しているメンバーがいる状態です。そうなると、「まず何から手をつけたらいいのか」というところからスタートしますし、広報のキャリアパスが最初から確立されていない会社が多いのも現実ですよね。
AIに「経営直下の総合格闘技」と評された、広報のリアルな業務範囲
二宮: でも、濱中さんはそこを乗り越えて「広報室」という部署を立ち上げることができた。キャリアアップの分かりやすい形は「組織を束ねて管理職になり、そこで結果を出すこと」だとすれば、濱中さんは見事に「広報室長」というポジションを確立されました。これって中小企業では、かなりレアなケースですよね。
濱中: そうかもしれないですね。うちの会社はかなり広報活動というものを大事にしているんだと思います。今、会社は社員が70名弱、アルバイトの方も含めると100名ちょっとの規模なので、中小企業で広報が1人いるだけでもすごいことなのに、2人、3人とチームにしてもらえるのは、確かに珍しいケースかもしれません。
二宮: 濱中さんは、今後どんなキャリアを考えているんですか?
濱中: そうですね、悩まないようにするために、あえて目の前の仕事に没頭している部分もあります。考え出すとキリがなくて、悶々としてしまうこともあるので 。でも今、少しずつチームとして機能し始めて、次のステップを楽しく考える時間も増えました 。今の私の仕事って、本当に守備範囲が広くて。試しに「自分の仕事リスト」をAIに投げて、「この先どんなキャリアアップが見えますか?」と質問してみたんです。
二宮: それは面白いですね。AIからはどんな回答が返ってきたんですか?
濱中: AIのフィードバックをそのまま読みますね。
「これだけの膨大な業務、しかもバックオフィスからコンテンツ制作、複数クライアントのディレクション、そして泥臭い定常業務までを同時に回されているのは本当に頭が下がります。凄まじいサバイバル能力をお持ちですね。現状ご自身では広報という言葉を使われていますが、やっていることは『経営直下のプロジェクトマネージャー兼コーポレートコミュニケーター』という統合、いわば総合格闘技のような状態です」
二宮: AI、めちゃくちゃ敬ってくれてますね(笑)。でも、「総合格闘技」というのはすごく的確な表現だと思います。
濱中: そうなんですよ、ありがたいです(笑)。しかも、この「圧倒的なカオス」をサバイブした先に見えるキャリアアップとして、3つの一般的な方向性を提示してくれたんです。
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専門性の深化:PRスペシャリスト、危機管理広報のプロ
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領域の拡大:統合型マーケター、ブランドプロデューサー
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経営への参画:CCO(最高コミュニケーション責任者)
危機管理に関しては、私はこれまで「攻めの広報(発信)」ばかりで、危機管理の経験はまだ少ないので、今後は会社のブランドをコントロールするような守りの広報も学んでいかなければと感じています。
また、SNSやイベント、コンテンツマーケを連動させて売上に直結させる「ブランドプロデューサー」や、経営戦略と広報戦略を同期させる「CCO」というポジションもあるんだなと、すごく勉強になりました。
キャリアパスの「縦軸」と「横軸」:PRスペシャリストか、組織マネジメントか
二宮: ここで少し、僕の視点からキャリアの考え方について話をしてみてもいいですか?
濱中:ぜひ!
二宮:キャリアアップには大きく分けて2つの方向性があります。 1つは「横軸(水平)」で、これは同じ専門業務を追求して深さを出していく「スペシャリスト」や「エキスパート」の道。 もう1つは「縦軸(垂直)」で、上に上がっていく「マネジメント」や「組織づくり」の道です。濱中さんは、この「縦」と「横」のどちらを目指したいですか?
濱中: それで言うと、自分の向き不向きは手広くやる中で少しずつ見えてきました。私はこれまで、ポッドキャストの配信、採用・人事、社内研修の企画、SNS、メディアへのアプローチ、さらにはクライアントワークまで、本当に何でもやらせてもらってきました。まさに総合格闘技かもしれません(笑)。
二宮: 確かに、ポッドキャストでもただ話すだけでなく、ディレクターやプロデューサー的な立ち位置で番組づくりをきっちり回していますもんね。
濱中: その中で気づいたのは、私は「PRの専門家(スペシャリスト)」を目指すよりも、「チームを作って組織を良くし、会社を組織として強くする」という縦軸のマネジメントに、すごく興味があるということです。できれば広報チームをさらに大きくして、いずれは事業部レベルにまで成長させたいなとも思っています。 ただ、お金回りのことや営業の経験がまだ少ないので、ビジネスセンスの面ではまだまだ未熟だなと感じる部分も多いです。クライアントワークもしていますが、あくまで「広報の専門知識を提供する」という立ち位置なので。経営全体のお金のことまではまだ頭が回っていないのが正直なところです。
二宮: 濱中さんはそう謙遜されますが、クロスメディアの社長である小早川さんは、濱中さんがどこにいると一番活躍できるか、会社にとって良いかをしっかり見てくれていると思います。小早川さんは「やりたいことを尊重してくれるタイプ」ですよね。
濱中: そうですね。基本的にはやりたいことを応援してくれるので、ポッドキャストなどの新しい挑戦もいつも見守ってくれています。
二宮: 一般的に管理職や役職者に昇格するポイントって、「一定の成果や利益、結果を残せるかどうか」なんですよね。だから、濱中さんのチームが「広報室」としてクライアントワーク(広報支援サービスなど)で売上を作れるようになると、組織内でのポジションは自然とさらに上がっていくはずです。 もう1つの方向性としてAIが提示した「ブランドマネージャー」というのも面白いですよね。会社の存在を守り、価値を高める立ち位置です。
クロスメディアだからこそ実現できる、広報の「新規事業化」という特殊な立ち位置
濱中: 今私たちの広報室では自社の広報だけでなく、半分以上はクライアントのパンフレット制作、動画やポッドキャストの制作といった「広報支援サービス」を担っています。新規事業のような形でゼロから作ってきました。
そう考えると、「クライアントに広報サービスを提供して事業成長を支援する道」と、「自社の経営に深く関わり、クロスメディアのブランドマネージャーとして価値を守る道」、この2つのキャリアが目の前に広がっていると感じています。
二宮: 濱中さんの立ち位置って、世の中の広報担当者から見ると、実はものすごく特殊で羨ましい環境だと思いますよ(笑)。 なぜなら、クロスメディアグループの事業自体が、本質的には「マーケティング広報」の会社だから。ビジネス書などのコンテンツを通じて、世の中に知られていない素晴らしいものを伝えるのが弊社のコア事業。 つまり、自社のためにやっている広報活動のノウハウを、そのまま他社への広報サービスとして「事業化」しやすいんです。
濱中: 確かにそうかもしれないです。
二宮: これが例えば、運送会社の広報担当者だったとしたら、自社の広報活動を他社向けに事業化するのはそう簡単ではないと思う。でも、クロスメディアなら自社で実践してうまくいった施策を、既存のクライアントと連動させてすぐに展開できてしまう。すごく恵まれていますよ。
濱中: 既存のお客様とシェアしやすい状態なので、新しい広報サービスを立ち上げたときにもすごくスムーズに連動できるんですよね。
二宮: もし濱中さんが「売上を作る部門」ではなかったとしても、会社のブランド価値を守る「ブランドマネージャー」や、社内外のコミュニケーションを統括する「CCO(最高コミュニケーション責任者)」のような専門領域のトップを目指す道もあります。こういう役職やポジションが用意されていると、広報担当者のモチベーションもぐっと上がりますよね。
濱中: 私がSNSで繋がっている広報の方々は、7〜8割が「広報コンテンツを作ってマーケティングを支援する」という攻めの広報をされています。残りの2〜3割が、大企業やベンチャーなどで「ブランドマネージャーとして危機管理や企業ブランドのコントロール」を担当されている印象です。私はどちらの領域にも興味があるので、本当に悩ましいですね。
「採用広報へのフォーカス」が転機に。1人広報からチーム・広報室長への昇格
二宮: 僕は、役職やポジションを上げることって、何より「本人がやる気を出すためのきっかけ」だと思っているんです。 例えば、社長から「5年間本当によく頑張って、広報室も売上を作るまでに成長した。これからはCCOとして会社全体のコミュニケーションを引っ張ってほしい」と新しいポジションを任されたら、不安もあるけど「面白そう! やってみたい!」ってワクワクしませんか?
濱中: ワクワクしますね! 期待されていると感じますし、見える景色がガラッと変わりそうです。
二宮: 裁量権をもらうことで、「今年はこれに挑戦しよう」「会社のここを改善しよう」と、より高い視座で主体的に動けるようになります。逆に、「広報担当として、できる範囲で頑張って」と言われているだけの状態だと、どうしても視点が下がってしまい、「とりあえず今日のインスタを更新しよう」といった手元の作業に終始してしまいがちです。 経営者視点から見ても、広報担当者のポジションを上げていくことは、会社全体の成長にものすごく好影響を与えるはずなんですよね。
濱中: そうですね。広報の立ち位置が「社長直下」なのか「マーケティング部門の中」なのかによっても、やれることは全然違います。 社長のすぐ隣で仕事ができている広報担当者は、たとえ1人であっても経営者目線で仕事ができるので、自分の業務に制限をかけずに動けます。なので、チーム化すること自体にはあまりこだわっていない人が多い印象です。 一方で、マーケティング部門の枠の中に閉じ込められてしまうと、視野が変に狭くなって苦しくなってしまうケースも多いのではないかと思います。
二宮: 広報って、そもそも「やらされてやる仕事」ではないですよね。かなり能動的なマインドが求められる。
濱中: 本当にその通りだと思います。自分から動かないと、ただただ苦しい仕事になってしまいます。毎週1本プレスリリースを出すような作業的なタスクだけをこなす仕事にされてしまうと、本当に苦しいと思います。
二宮: 「プレスリリースをアップするだけ」みたいな作業的な広報であれば、会社の仕組みや想いを深く理解する必要もないですが、実際の広報は違います。自発的に動き、会社の仕組みを理解して発信していく「やる気のある人の集まり」が広報なんだと思います。
濱中: うちの編集部のメンバーを見ていても、「本を作りたい!」という自分自身の強い意思や情熱がないと苦しい仕事なんだろうなとよく思います。広報も全く同じですね。
経営者と広報の理想的な関係:裁量権を活かし「経営に携わる広報」へ
二宮: だからこそ、経営者の皆さんには「広報をどう扱うか、どう活かすか」を真剣に考えてほしいですね。濱中さんも、社長に対して「こういうことがやりたいです!」とどんどん提案して、権限をもらった方がいいですよ(笑)。
濱中: そうですね。最近考えているのは、これまで手広く自分でやってきた「総合格闘技」的な実務を、少しずつメンバーに振って任せていくことです。 そして自分自身は、もっと「経営に携わる広報」としての役割にリソースと時間を割きたいなと思っています。そのためにも、採用の許可は出ているので、広報チームをもっと大きく、組織として強く設計していきたいです。
二宮: 「採用していいよ」と言われているのは、ものすごい裁量権ですからね。ぜひそのチャンスを活かして、組織作りを楽しんでください。
濱中: ありがとうございます!そうします!今日お話ししてみて、今自分が恵まれている環境を、あらためてフル活用していこうと決意できた気がします。
二宮: キャリア相談みたいになりましたが、濱中さんの場合はやっていることに対してしっかり結果を出しているからこそ、信頼されて裁量をもらえているんだと思います。これまでの大きな転機は何だったんですか?
濱中: 振り返ると、入社2〜3年目のときに「採用広報」にフォーカスを絞らせてもらったことが最大の転機でした。オウンドメディアを立ち上げ、採用という目に見える成果や形を作れたことが、社内での信頼に繋がったのだと思います。
二宮: 最初からそういう挑戦をさせてくれる環境と、社長の設計も素晴らしかったですね。
濱中: 本当に感謝しかないですね。さて、今回の『東京広報大学』第86回も終わりの時間が近づいてきました。気がつけば、100回の大台まであと14回ですね!
二宮: 百回記念、何か面白いことを企画しましょうか。濱中さんと食事に行ける権利プレゼントとか(笑)。
濱中: 私でよければぜひ(笑)。何か楽しんでいただける企画を考えましょう!今回もありがとうございました!
▼最近は不定期の更新になってしまっていますが…
ぜひ『東京広報大学』、Podcastでも聴きにきてください!