先日、ついに10万部を突破した『おとな六法』。人気YouTuberの著書として、初版から勢いがありました。その波をさらに大きくし、継続的に売り伸ばすためには、次々に新しいプロモーション施策を実行し、多くの人を巻き込みながら、その”熱”を維持していく必要があります。

『おとな六法』のプロモーションプロジェクトが始動したのは、発売の半年前。出版後も定期的にユニークなプロモーション施策を仕掛けながら、世の中に『おとな六法』ブームを生んでいきました。

その中心にいるのが、コンテンツマーケティング室の岩瀬恵理子です。編集者と著者、書店、そして読者までを巻き込んで進める書籍のプロモーション。全方向からの要望に応えながら、いかにチームをひとつにまとめていけるか。今回は、プロモーションという枠を超え、社内外のメンバーと共に世の中のムーブメントをつくる岩瀬に、コンテンツマーケティング室での活動について聞きました。

プロモーションの起点は書店

著名人の本は、最初にファンが購入するので、火がつきやすく、その波に乗る必要があります。私がプロモーションを担当している『おとな六法』も、人気YouTuberの岡野タケシ弁護士の本で、予想通り発売前の段階で話題書となりました。

ただ、書籍は発売直後に伸びても、その勢いが続かないことも多々あります。せっかくの価値ある本をどのように世に広めていくのか。幸いなことに、今回私はプロモーションを担当させていただき、発売から3か月後の年末年始に、前月の1.5倍の売り上げをつくることができました。現在では10万部を超えるベストセラーになっています。

『おとな六法』は、昨年の9月25日に発売されましたが、著者、編集者、PR担当によるプロモーションのプロジェクトは同年の4月から本格始動しています。早く始めることで、発売前から業界YouTuberの方々や業界誌の方と連絡を取ってパブリシティを仕込むことができました。そして、発売1か月後には大きなリアルイベントを開催し、子供から大人まで総勢1200人が集まり、大成功に終えることができました。この成功は、ひとえにイベントに協力してくれた書店のおかげです。

その流れに乗ってプロモーションをさらに盛り上げたいという想いを、プロジェクトメンバー全員が持っていました。このチームの一体感で、年末年始も『おとな六法』の売り上げの波を作ることができたのだと思います。

書店に協力いただいた試作の一つに、紀伊國屋書店の限定特典として配布した本のしおりがあります。しおりには、岡野先生のメッセージが読者に届くQRコードをつけました。同時に限定帯・パネル・POPも展開することで、売り場を盛り上げました。また、全国の書店にメッセージポストを設置し、書店に来た子供たちがそのポストに手紙を入れると岡野先生に届く、というような著者と読者をつなぐ施策も行いました。

それから、オリジナルリーフレットも作りました。このリーフレットには面白い仕掛けがあります。1面から3面は『おとな六法』の内容を解説したもので、最後の4面には受け取った人を『おとな六法』の世界観に巻き込みたいという想いから塗り絵のページを作りました。自由に色を塗ってもらった後、集めた塗り絵から岡野先生に選んでもらい、店の販促POPとして実際に使用する予定です

以上のように、書店はプロモーションにおいて欠かせない重要な役割を担っています。そのためには、おもしろい拡材を作るだけでなく、書店員さんが本を置きたくなるような魅力あるパブリシティを獲得する必要もあります。この目的のため、日々、メディアと積極的に連絡を取り、関係を築くことも私の役割の一つといえます。

チームを盛り上げる鍵は情報共有のスピード

『おとな六法』のプロモーションでは、プロジェクトリーダーのような役割をさせていただいています。リアル書店、ネット書店、そして社内の盛り上がりを意識して進めてきました。社内と著者サイドそれぞれに考え方があるので、自分がうまく連動させなければという使命感のようなものを感じて取り組んでいます。

私の現在の仕事には、編集者・読者・書店・書店営業・著者と、書籍に関わるすべての人たちをつないでいくという役割があります。

チームメンバーを一つにし、動かしていくには、全員の共通認識を作り、誰一人として情報漏れがないようにすること、そしてスピード感のある情報共有が大事です。時間が空いてしまうと、熱が冷めてしまいますよね。

私は「24時間対応」の気持ちでコミュニケーションをとることを心がけています。例えば、『おとな六法』の情報解禁日には、Amazonのページに張り付いて、ランキングが少しでも変動すればメンバーに伝えるようにしました。予約数がどれくらい入ったかなど、動きがあったらすぐに情報を共有し、チームを盛り上げてきました。

プロモーションに関しては、著者、編集者、書店、そして読者からアイデアをいただきます。例えば、『おとな六法』のリーフレットは、著者サイドからいただいた案でした。

著者サイドからアイデアをいただいた際は、自分でその案を基に試作品を作るようにしています。それをもって書店営業担当のスタッフに相談したり、書店員さんにも見せたりと、いろいろな人を巻き込んでいきます。積極的に書店に足を運び、他社のリーフレットも集めてきました。それを基に、みんながイメージしやすいように、どのように作るか、どのようなターゲットがあるか、目的やターゲット層を相談しました。

ほかにも、実現したい施策があるときは、これをやる価値があるかどうか、費用対効果も含めて、皆の意見を聞くようにしています。

私は以前、書店営業として働いていたのですが、その頃の販促のアイデアのほとんどは書店員さんからいただいた案をもとにしていました。「これを作ってみたら面白いんじゃない」という意見をもらって、自分で制作し、書店に貢献する。今の仕事は、書店営業時代にやっていたことをプロジェクト化した感じです。特定の書店だけでなく、全国の書店を対象にしていますし、Amazonや楽天などオンラインでも展開して、スケールが一気に大きくなったと感じています。

ビジネス書は個人と社会が変わる原動力

ビジネス書は、自分の考えや視野を広げてくれる貴重なツールだと考えています。世間にはビジネス界での著名人のセミナーやオンラインサロンに高額を支払って参加される方もいます。でも、ビジネス書だと高くても3000円程度で学ぶことができますよね。その価値提供はすごいと思います。こんなに詰まった情報をこの値段で売って良いのかと、正直思います(笑)。

ビジネス書はただの情報源というわけではなく、私たちの個人の成長や発展を促してくれる動力源だと思えば、多くの人がビジネス書を読むことによって社会やビジネスが変わると思うんです。だからこそ、一番やりがいを感じる瞬間は、本が売れたときです。『おとな六法』は10万部を突破しています。ということは10万人がこの本を読んで共感してくれたということでもあります。この本のファンや共感者が10万人いると思うと、とても嬉しいですよね。

もともと著者の方にファンが多いケースもありますが、本との偶然の出会いをつくる場所はやっぱり今でも書店だと思っています。オンラインストアと違って、実際に本に触れたり、手軽に試し読みできるのは嬉しいですよね。書店営業の経験からも、書店に還元したいという気持ちが強いです。編集者とのやりとりで得た情報や書籍の内容などを、書店員さんと出来る限り共有することで、協力店舗を増やしています。

一番大事なのは読者目線。編集者に主観を伝える

本を売っていくためには、編集者や著者、書店との連携が欠かせません。
まず、編集者に私から本の中身に対して提案することはありませんが、帯については提案できると思っています。書籍の帯は、「本の服」のようなもの。読者は、まず最初にタイトルを見て、その後帯に目を移します。デザイン案を見て気づいたことやアイデアがあれば、編集担当に提案します。あまり口出ししすぎないようには気をつけていますが(笑)。

編集者のために、書店員さんから意見をもらうこともあります。書籍カバーのデザインや帯コピーを見てもらって、書店員さんが見てどう思うか。それを参考情報として編集者に持ち帰ります。編集者と書店をつなぐことで、出版社と書店が一緒に良いものを作ろうとする動きをつくり出していきたいと思います。

それから、著者の方とコミュニケーションを取るときは、読者視点で話すことを意識しています。自分の主観を一読者として「この本は面白かったですよ」とか、「イラストはこちらの方がかわいいですね」と伝えています。また、拡材などにも私の主観を取り入れています。個人的に読んで面白いと思ったポイントや、他の人に共有したいと思ったポイントを詰め込むようにしています。それによって良い反応を得られているので、主観もやはり大事なんだと思います。

業界の「不変の価値」を感じるからこそ、挑戦を続けたい

出版不況とは言われますが、やはり出版業界には不変の価値があると思っています。情報であふれている中、出版社が生んでいる「編集された情報」は貴重になってくるはずです。みんな、安心して読むことのできる文章を求めているのではないでしょうか。

クロスメディアは私が入社してからも毎年のようにヒット作を出しており、成長しています。コロナの前は特にニッチな本を出すことが多く、「クロスメディアさんならではですね」と書店から言われることが多かったのですが、コロナ明けからは『おとな六法』など、より幅広いターゲット層に向けた、いわゆるベストセラー書が出版されるようになってきました。

この勢いにのって、たくさんのベストセラーを作れる会社にしていきたいですね。ロングで売れるくらい価値ある書籍をつくり、届けていくのが目標です。ベストセラーが生まれるより、私たちの想いに共感して入社してくれる仲間も増えていくと思います。そういう人たちと共に、世の中のムーブメントをつくっていきたいと思います。

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