コンテンツが「中身」なら、タイトルは「扉」。
どんなに素晴らしい中身を用意しても、タイトルという扉が開かれなければ、そのプロダクトはこの世に存在しないのと同じです。

クロスメディアの出版企画書はA4一枚で構成されています。その中で最も重要視されている項目が、タイトルです。

Podcast「編集者で経営者」より、クロスメディア代表・小早川と広報・濱中の対談をダイジェストでお届けします。

■企画書は「A4・1枚」。勝負はそこで決まる

濱中: 今回は「企画」についてお話を伺っていきたいと思います。前回、「編集とは企画と制作から成り立つ」というお話がありましたが、具体的にどのように企画を立てているんでしょうか?

小早川: 当社の場合は、A4・1枚の「企画書フォーマット」があって、その項目を埋めていく形をとっています。その中でも、一番上にくるのが「タイトル」です。ここが非常に重要ですね。

濱中: やっぱりタイトルなんですね。企画の段階から、もう本の顔となるタイトルを決めておくんですか?

小早川: そうです。タイトルが決まらないと、内容もブレてしまうので。私の場合は、企画書の段階からベストなタイトルを決めて、そこから一切軸をブラさないようにしています。スタッフにも、よほどのことがない限り変更はしないと伝えています。タイトルはコンセプトの軸になるものですから。

濱中: 小早川さんは、最初からタイトルがパッと浮かぶことが多いんですか?

小早川: 両方ありますね。タイトルが浮かんでそこから内容を書くこともあれば、誰かの話や新聞、雑誌、Webなどで「このフレーズいいな」と思った言葉を抜き出して、それに合う体系的な内容を書ける著者を探すこともあります。

濱中:とにかく、タイトルは重要なんですね。

 

■「ニーズ」から「ウォンツ」へ。アテンション・エコノミーの戦い方

濱中: 昔と今とで、タイトルのつけ方に違いはあるんでしょうか?

小早川: ええ、求められるタイトルが変わってきています。昔は情報自体が少なかったので、「営業のスキルが3時間で身につく」とか「決算書が読めるようになる本」といった、読者の「ニーズ(必要性)」を満たすタイトルをつければ、ある程度売れていたんです。

濱中: 確かに、実用書ってそういうイメージがあります。内容がそのままわかるようなタイトルですね。

小早川: でも今は、インターネットやソフトウェアで情報が溢れています。単にニーズを満たすだけでは、本を手に取ってもらえなくなりました。供給過多の中で人々の需要を刺激するような、「ウォンツ(欲しい!)」を喚起する表現が求められているんです。

濱中: 「必要だから読む」ではなく、「面白そうだから読みたい」と思わせるような?

 

小早川: その通りです。今は「アテンション・エコノミー(関心経済)」の時代です。人々の注目(アテンション)を集められないものは、存在しないのと同じです。だから「ん? これどういうこと?」と興味を惹きつけないと、スルーされて終わってしまいます。

 

■当事者だからこそ陥る「視野狭窄」とタイトル会議

濱中: タイトルって本当に大事ですね。クロスメディアでも、タイトルが良いか悪いかの協議はしっかりされていますよね。

小早川: はい。通常の企画会議とは別に、「タイトル会議」というタイトルだけを議論する場も設けています。

濱中: 編集部の方から「このタイトルどう思う?」と意見を求められることがあるんですが、第三者だからこそわかる感覚ってありますよね。自分でずっと制作に関わっていると、タイトルをつけるのが難しくなりそうです。

小早川: まさにその通りです。他者の視点だと好き勝手言えるんですが、当事者として真剣に考えすぎると煮詰まってしまったり、視野狭窄に陥ったりすることがあるんです。

濱中: だからこそ、チームで議論することが大切なんですね。タイトルが変わるだけで、売れ行きが全然違ったりもしますし。

小早川: ええ。本に限らず、いろいろな商品やサービスもタイトルやネーミングを変えた途端に売れ出すことがあります。だからこそ、頭が爆発するくらい、1日中タイトルのことを考え抜かないとダメですね。

 

■企画を形にする「5W1H」と独自性

濱中: 企画書のフォーマットには、タイトルの他にも項目がたくさんあるんですよね。

小早川: はい。タイトルの次にはサブタイトル、キャッチコピー、そして読者ターゲットですね。

濱中: ターゲットの設定もめちゃくちゃ大事ですよね。あとは付加価値、差異化、著者の略歴、企画概要、目次の構成、ジャンルや価格などの詳細情報。こうして見ると、かなり盛りだくさんです。

小早川: 基本的には「5W1H」を埋めていくイメージです。それに加えて、「この本としての独自性(付加価値や差異化)は何か」を論理的に整理していくことが求められます。

濱中: これをしっかり作り込んで、やっと1冊の本になっていくわけですね。このフォーマットは設立当初から使っているんですか?

小早川: ええ、ブラッシュアップは重ねていますが、ベースはずっと同じです。本だけでなく、新しい商品やサービスの設計をするときにも使える考え方ですよ。

濱中: なるほど。まだまだ企画の考え方についてお聞きしたいことがたくさんあるので、この続きはまた次回以降に少しずつ深掘りさせてください。今日はありがとうございました!

小早川: ありがとうございました。

 

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▼今回の対談のフル動画はこちら 企画の良し悪しはタイトルで決まる【編集者で経営者】Season4-2
https://youtu.be/C_uJbqP7DsI


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